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朝めし前
常任理事(機関誌部・平和と登山委員会)大西清見
誰にも信じてもらえないことかも知れないが、私が仕事に就いた時から40年以上も続けていることがある。
それは毎朝5時起床(夏は4時半頃)、それもほとんど目覚まし時計無しでの起床である。
時々、友人から「大西さんのメールはいつも朝が早いですね」と苦言も(笑)。
また、ある友人からはメールで「朝一番の機関誌の原稿改定版の原稿が送れて助かった」と
いう連絡も超タイミングだ。
実はこの5時起床から朝めし前までの小一時間が、一日24時間のうち最も効率よく使える時間かも知れない。
大げさに言えば私の頭脳が、深夜の時間よりもより新鮮に働く時間でもあるのだ。
この小一時間は若いころは学校の教材準備や手紙の返信に、
近年はPCでメール受信の処理(一日30通以上の時もある)や機関誌の原稿執筆などに費やすことが多い。
時々、読み残しの読書も、朝イチの頭の回転にも効果的である。
最近、朝イチ用で枕元に置いているのが岩波新書の『山の自然学(小泉武栄)』、
「多彩な美しさに満ちた日本の山の自然はどうしてできたのだろうか」の問いかけに日本各地の山をとりあげて、
植物分布や地形の不思議を存分に語った自然学入門書である。この本でつい朝イチの時間オーバーすることも、
山歩きがいっそう楽しくなればこれも幸せだ。
また、この朝早起きで、夜考えることと、朝考えることとは、同じ人間でもかなり違っているのではないか、
ということに気づいた。夜、寝る前に書いたメール文を、朝、目を覚ましてから読み返してみると、
どうしてこんなことを書いてしまったのか、と不思議に思うことがある。
また、前の晩に仕上げた文章があって、とてもこれではいけないと、
明日になってもう一度書き直しをしようと思って寝ることもある。
一夜明けて、さっぱりした頭で読み返しもう一度挑んでみると、
手におえなかった文章でもするすると片付いてしまうから感心したりもする。
私はある時、“朝飯前”という言葉を広辞苑で引いてみた。そこには「朝の食事をする前。
(朝食前にできることから)容易なこと」とある。よく考えてみると、この用法は、
朝の食事の前にするために、本来は決して簡単でもないことが、さっさとできてしまい、
いかにも簡単そうにみえる、と考えることもできる。また、どんなことでも、朝めし前にすれば、
さっさと片付くこともあり、すがすがしい気持ちで職場に向かうこともできる。この“朝飯前”は、
すがすがしく一日を過ごしていくスタートラインとしてのゴールデンタイムであるのだ。
あと残された人生も、この朝めし前の小一時間を素直に有効に使っていきたい、と今日も考える。
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