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編集者のページ(2019年4月号)
文責:大西清見(泉州勤労者山岳会)
時過ぎて60年−旅と山と教室で出会った人たち−4 大西清見
大阪市立Y商業高校教員時代
大学卒業後(1974年)、最初の赴任校は大阪市立Y商業高校でした。
当時、商業科と普通科が各4クラスあって、
普通科の地理も必修でいきなり専門の地理中心の授業が持てたことはとてもラッキーでした。
ただ、当時全国的に広がっていた高校紛争の直後で、赴任校もその影響を受けていました。
生活指導や授業でも生徒との信頼関係を取り戻す努力も求められ、先生方の団結が必要でした。
校長や多くの先生方の包容力と温かさもあって、
学級経営や社会科の授業を思い切りのびのびやらせていたことが、
次の普通高校へのステップになったことは間違いありません。
そんな赴任校の二年目で労働組合(大阪市立高等学校教職員組合)の委員長であったHさんとの出会いも、
その後の私の人生に大きな希望と勇気を与えて下さいました。
労働運動以外でも人の生き方についていろいろなアドバイスを受けましたが、
そのHさんの人柄は20年ほど前のHさんを偲ぶ会でも紹介されました。
Hさんは広島出身で、広島の大学を卒業されて高校・物理の教員になられたそうです。
第二次世界大戦中の広島原爆投下でHさんの両親と兄弟全員が亡くなり、
この出来事から平和運動にも力を入れられ、労働組合の先頭に立たれていったのでした。
20年ほど前に胃ガンで亡くなられましたが、その半年前に余命半年を告げられ、
その時に今まで忙しくて読みたくても読めなかった好きな文学を読んでみたい、
と奥さんに語ったそうです。奥さんにお願いした本は、トルストイの『戦争と平和』で、
毎日少しずつ楽しそうに読んでいかれました。やがてこの『戦争と平和』を読み終え、
もう一冊の本を読んでみたいと言われ、求めたのが井伏鱒二の広島を舞台にした『黒い雨』でした。
この『黒い雨』を読み終えたころ、穏やかに眠るように亡くなったそうです。
このHさんの最後まで平和の心を大切にし、その生き方から、「人生とは何か」「人はどう生きたらよいか」について、
素直に考えさせられたのでした。
中国での強盗事件
1984年から16年間は大阪市立H高校でした。H高校の社会科教員は8名で、
みんな全員が探究心旺盛でとてもアカデミックでした。
H高校での社会科の各科目の大半が入試に直結するので、
教科指導について常に交流をもち続け、また時には丹後地方や四国などの巡検もあって、
前任校とはまた違った社会科の世界でした。
このH高校の後半のころ「これからは中国との時代」と考え、
定年後の中国との交流も視野に入れて中国語の学習を始めました。
また中国を少しでも知っておきたいと積極的に中国への旅もしました。
その中国の旅で、今でも生きていることが不思議なくらいの絶体絶命の事件にあったのです。(続く)
◇編集後記◇
この一年、但馬(兵庫県北部)経由で実家(京都府伊根町)に帰省することが増えました。
2月は豊岡市日高町の植村直己冒険館に寄ってみました(2月15日)。
植村直己冒険館は、年間23,000人も入館者があるそうです。
私も今回で5回目、いつも登山だけではなく、残された人生においても希望と勇気をいただいて帰ります。
冒険館の書籍販売コーナーで人気bPの本が『青春を山にかけて』とか、
私も一昨年に久しぶりに本棚から取り出して読み返したことがありました。
この本の解説には「五大陸の最高峰を踏んだ登山家としてその名を世界に知らしめた植村直己。
戦後日本が生んだ最大の探検家の若き日々の記録。家の手伝いからは逃げ、学校ではイタズラばかりしていた少年は、
大学へ進んで、美しい山々と出会った。大学時代、ドングリとあだ名されていた著者は、百ドルだけを手に日本を脱出し、
さまざまな苦難のすえ、夢の五大陸最高峰登頂を達成する。アマゾンの60日間イカダ下りもふくむ、
そのケタはずれな世界放浪記の全貌(西本正明)」と書かれています。
偉大な登山家・冒険家なのに決しておごることのない植村直己氏、
この本のあとがきに「私は五大陸の最高峰に登ったけれど、高い山に登ったからすごいとか、
厳しい岩壁を登攀したからえらい、という考え方にはなれない。山登りを優劣でみてはいけないと思う。
要は、どんな小さなハイキング的な山であっても、登る人自身が登り終えた後も深く心に残る登山がほんとうだと思う」と
いう言葉を記しています。素晴らしい植村直己氏の言葉ですね。
この機会にもっともっと植村直己氏を知りたいと思ったのでした。(大西清見)
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今月も各会より会報を送っていただきました。
安治川山の会ニュース(安治川山の会)、やまなかま(泉州労山)、きたろうニュース(きたろうHC)、
にしよど(西淀労山)、ぽんぽん山(高槻)、奈良県連ニュース滋賀県連ニュース、福岡県連通信、
労山おかやま、やまと友の会、HCかざぐるま、京都労山、噴煙(鹿児島労山)、兵庫労山会報、県連ニュース(和歌山労山)
発行日 2019年(平成31年)3月18日 398
編集・発行 入澤、大西秀、笠井、園、高橋、中井、中尾、服部、大西清
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