森は海の恋人(1)


TENSION 井上好司
                   
「労山ニュース」の編集長である大西さんからエッセイを連載で書いて欲しいと依頼されました。
とんでもないことだと思ってもちろん即座にお断りをしましたが、
紆余曲折あって結局お引受することにしました。

 大西さんからは「海や森への旅を通して」というテーマで自然への想いを書いて欲しい、
タイトルは任せるということでした。

 まずはタイトルです。海と森をテーマに思いつくタイトルは「森は海の恋人」の他にはありません。
あえてもう一つ言えば「森が消えれば海も死ぬ」ぐらいでしょうか。それほどに森と海の関係を見事に
表している言葉はありません。

 ご存知の方も多いことと思いますが、東北気仙沼の牡蠣養殖の漁師さんが提唱した運動、
養殖をしている舞根湾に流れ込む川の上流の森に落葉広葉樹を植えて森を生きかえらせる運動、
これがNPO法人「森は海の恋人」の活動です。
およそ30年前に始まったこの活動は今や全国に広がりを見せています。

この連載エッセイのタイトルの了承を取っている訳ではないので、
もし万が一その「森は海の恋人事務局」から著作権侵害の損害賠償を請求されたら、
労山ニュース事務局で対応して頂くことになります。よろしくお願いします。

牡蠣を育てるには大量の植物プランクトンが必要なのですが、どうゆう訳かあまり多くいない。
その原因が落葉広葉樹を伐採して建築資材目的に針葉樹を植林した森にあると気付いたのが
気仙沼の牡蠣養殖の漁師さんだったのです。その漁師さんが上流の森にクヌギやブナなどの
落葉広葉樹を植樹して森づくりを始めました。簡単に言うと落葉広葉樹は当然ですが
冬になると葉を落とします。その葉が土の中の微生物のエサになって腐葉土が作られ、
その腐葉土がさらに微生物を増やし最終的に「フルボ酸鉄」を増やすことになって、
このフルボ酸鉄が川を伝って海に流れ込みそれが植物プランクトンを増やすことになったそうです。

気仙沼舞根湾の牡蠣は本場フランスのオイスター料理に使われるようになり
世界的に認められるブランドの牡蠣になったのです。
次回はもう少し「森は海の恋人」の活動についてご紹介したいと思います。

推薦図書
・森は海の恋人(文春文庫)
・森が消えれば海も死ぬ(ブルーバックス新書)

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